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  • 保育業界 知っておきたい基礎知識 (4)保育園の規制緩和
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(1)「新待機児童ゼロ作戦」が現在進行中
(2)「新保育所保育指針」の適用スタート
(3)なかなか解消に至らない待機児童問題
(4)保育園の規制緩和
(5)幼保一元化とは
(6)少子化と保育園

保育業界|知っておきたい基礎知識
保育園の規制緩和
自民党政権から民主党政権へと代わり、今後保育業界はどうなっていくのでしょうか…?
今後のことを考えるためにも、今回は、これまでの自民党政権時代に進められてきた保育園の規制緩和について記したいと思います。これから保育士をめざす皆さんにとっても、これまでにどのような規制緩和が進んでいるのかは、当事者として知っておくべきことでしょう。

 
小泉構造改革の一環として進められた保育園の規制緩和

 保育園は少子化や女性の社会進出の増加など社会環境の変化を受け、大きく変わってきました。例えば、1998年には児童福祉法の改正により、それまで市町村の措置により保育園への入園が決まっていたものを、情報の提供に基づき利用者が保育園を選択する仕組みに改めたのはその一例です。
  その後、小泉内閣のもと、あらゆる分野で構造改革が進むなか、保育園の規制緩和にも拍車がかかりました。その最たるものが、2001年3月に閣議決定された「規制改革推進3カ年計画」です。保育分野として「公立保育所の民間委託」、「保育サービスの質の確保(保育士の質の維持及び向上、保育士定数の規制緩和)」、「保育の利用に係る制度」、「保育サービスに係る情報提供体制の整備」、「保育所の設置基準等(調理室の在り方等)」、「夜間保育、休日保育の推進等」が決定されました。
  また、それを受けて組織された「総合規制改革会議」では、「定員の弾力化」や「民間企業参入のための会計処理の柔軟化」、「保育所と幼稚園の共用化の促進」などが打ち出され、保育制度の根幹にかかわる「直接入所方式の導入」については長期的検討課題とされました。

次々に実行された規制緩和の数々
 こうして打ち出された規制緩和策は、入所を希望する児童数の増加といった保育需要の増大もあり、次々に具体化されていきました。
  実現されたものを挙げてみても、「公立保育所の運営委託の促進」、「保育士に関する諸規則の改革(国家資格化)」、「保育所に関する情報公開」、「第三者評価の推進」、「夜間保育・休日保育の推進」、「保育所への株式会社等の参入促進」、「保育所と幼稚園の施設共有化等による連携」と、閣議で決まったことのほとんどが実行に移されました。
  その中で残ったのが、長期的検討課題にされた「直接契約制度」と「給食の規制緩和(調理室の在り方)」でしたが、これらの規制緩和も時間の問題と言われていました。

「直接契約制度」の導入に向けた動きが急に
 それら2つの中でも「直接契約制度」に関しては、2009年2月に大きな動きがあったことを新聞各紙が報じました。
  厚生労働省の「社会保障審議会少子化対策特別部会」において、市町村の保育実施義務に基づく現行の保育制度を大きく変え、利用者が保育所と直接契約を結ぶ「新たな保育の仕組み」を導入することを決定しました。今後、制度の細部を議論して、2010年度または2011年度の通常国会に児童福祉法改正案を提出し、2013年度から新制度を実施する運びになったというのです。
  民主党政権においてこの制度が実施されるかどうかはまだ明らかになっていませんが、新制度では児童福祉法第24条の市町村の保育実施義務をなくし、代わりに「保育提供体制の確保」、「利用支援」、「保育費用の支払い」などの「実施責務」を市町村に課すことになっており、この制度が導入されれば、これまで以上に利用者の保育園選考が強まると考えられています。
 


最後に

民主党のマニフェストでは政策各論14において、
保育所の待機児童を解消する

【政策目的】
○縦割り行政になっている子どもに関する施策を一本化し、質の高い保育の環境を整備する。
【具体策】
○小・中学校の余裕教室・廃校を利用した認可保育所分園を増設する。
○「保育ママ」の増員、認可保育所の増設を進める。
○「子ども家庭省(仮称)」の設置を検討する。

とあります。
保育業界には待機児童を始め、教育の問題や保育士不足などさまざまな問題が蓄積されています。
民主党政権となり、今後保育業界がどのような変化していくのか注目していきましょう。